出版の未来、書店の未来
Posted on 2008/2/26 火曜日
先日の朝日新聞で、「出版文化どう守る」というタイトルで、
再販を撤廃したイギリスと再販を継続しているドイツの出版、書店事情が、
紹介されてました。
再販を廃止したイギリスでは、「アズダ」などの大型スーパーが、
「ハリーポッター」等の人気商品を採算を度外視した割引価格で、
人寄せの目玉として販売しているそうです。
並べられる本も、売れ筋に集中し、出版部数は昔と変わりないが、
タイトル数で見ると半分になったとのこと。
大量仕入、大量販売の世界の中では、
「町の書店」は生き残りが難しく、急速に姿を消していっています。
逆の立場、再販を存続しているドイツではどうかといえば、
やはり資本集中の流れの中で大手書店同士が経営を統合し、
DBH(約470店)、ターリア(約220店)という巨大チェーンが生まれ、
また一方、新興書店チェーンは、
売れ行きの落ちた本の出版権を買い取り、廉価版として出版し直し、
書店員も少なく、安価を強調する戦略を取っているようです。
ただその中でも、午後6時までに注文すれば翌日には届くという
効率的な流通システムのおかげで、小さな書店でも大型店やインターネットに
品揃えで対抗できているらしいです。
ミュンヘンの書店の店主ホルストさんによると、
ネットが発達したおかげで、大型店で本を選んでいたお客が、
今はネットで検索して、地元書店で注文してくれるとのこと。
宅配に備え自宅で待っているより、本屋の方が確実に素早く入手できることが、
わかっているから。
「書店は地域の文化拠点。希望は捨てていません」と話されています。
では、日本はどうかと言うと、ドイツと同じように、再販を維持しています。
同じ流れで、大型書店チェーンが台頭してきています。
ただ最も違うのは、日本の流通があまりに非効率なことです。
ではなぜ、非効率なのでしょう?
その理由の一つとして、流通の中でトーハン、日販といった2大取次店の力が、
異常に大きいことのデメリットがあげられます。
まず、ここと取引をしてもらえないと、出版社、書店も特殊なケースを除いて
経営ができない。
そしてその取次店が、金融機関的な役割も持っていることがさらに大きい。
出版社は新刊を出して、取次に納めればとりあえず代金がもらえます。
数ヶ月後に返品が返ってきたらお金を支払わなければなりませんが、
その時はまた新たな新刊を発行して補います。
ここが、必要以上に新刊の発行が増えている原因にもなってます。
2大取次があるからこそ、出版社は取引をすれば、
理論上は全国に本を行き渡らせることができるというメリットはもちろん
ありますが、実際は都市部の大型店に集中しています。
地方の「町の書店」ではお客さんの注文であっても、
ベストセラーは入らないことも多い。また、入ったとしても入荷に時間がかかる。
どうしても、インターネットで、注文してしまいますよね。
ドイツのように、地域の「町の書店」が生き残るのにはかなり難しい環境です。
ただ、活路が無いかと言えば、ありますよ。
日本は委託販売なので、売れなければ返品できます。
(もっともその返品率の上昇を取次店は嫌がりますけど)
けれどそこを生かして、地域のお客さんに密着した個性豊かな品揃えの書店を
作り上げることこそ、1番の打開策ではないでしょうか。
取次店が自動的に配本してくれるおかげで、昔は何もしなくても本が揃え、
営業ができました。今でもそういう本屋さんは多いですね。
そろそろ、といっても今更ですが、そこから脱却すべきではないでしょうか。
» Filed Under 本周辺のはなし
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